
理学部の志望理由書の書き方:例文と重要ポイント
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
今回は、多様な可能性を秘めた入試制度である「総合型選抜」の中でも、自然の真理を探求し、科学の発展に貢献する「理学部」の志望理由書に焦点を当て、その概要から具体的な例文、そして合格を掴むための重要なポイントまで、じっくりと解説していきます。
「総合型選抜って、なんだか難しそう…」「理学部の志望理由書って、どんなことを書けばいいの?」そんな疑問や不安を抱えている方も、この記事を読めばきっと道が開けるはずです。
私たちと一緒に、あなたの知的好奇心と探求心を最大限に引き出す志望理由書を作成し、夢の理学部合格を掴み取りましょう!
改めて知る総合型選抜:一般選抜との違い、そして理学部が求める人物像とは?
まず、総合型選抜とはどのような入試制度なのでしょうか?一般選抜との違いを明確にし、その上で理学部がどのような学生を求めているのかを理解することが、志望理由書作成の第一歩となります。
総合型選抜(旧AO入試)とは?
総合型選抜は、従来の学力試験の成績だけでなく、志願者の個性、意欲、適性、経験などを総合的に評価する入試制度です。
大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせながら、書類審査、面接、小論文、プレゼンテーション、実技など、多様な評価方法を用いて合否が判定されます。
一般選抜との違い
一般選抜が主に学力試験の結果を重視するのに対し、総合型選抜は、皆さんがこれまで培ってきた学びへの姿勢、課外活動への取り組み、将来の目標など、多角的な側面から評価される点が大きな違いです。「得意なこと」「興味のあること」「将来やりたいこと」を大学に積極的にアピールできるチャンスと言えるでしょう。
理学部が求める人物像
それでは、理学部はどのような学生を求めているのでしょうか?多くの理学部が共通して重視する要素として、以下のような点が挙げられます。
- 自然科学への強い興味と知的好奇心: 宇宙、物質、生命など、自然界のあらゆる現象に対する根源的な興味を持ち、探求心にあふれていること。
- 論理的な思考力と分析力: 物事を客観的に捉え、データや証拠に基づいて論理的に考え、分析する能力を持っていること。
- 粘り強い探求心と問題解決能力: 未知の現象や未解決の問題に対し、諦めずに粘り強く探求し、論理的な思考力と実験・観察を通して解決策を見出す意欲があること。
- 正確な観察力と実験スキル: 自然現象を注意深く観察し、実験やデータ収集を正確に行うための基本的な技能を持っていること。
- コミュニケーション能力と協調性: 研究活動や議論を通して、他の研究者や学生と円滑にコミュニケーションを取り、協力して課題に取り組むことができること。
これらの要素を踏まえ、皆さんのこれまでの経験や学びと結びつけながら、志望理由書で自己PRしていくことが重要になります。
理学部 志望理由書の構成要素と作成のポイント
次に、実際に理学部の志望理由書を作成する上で、どのような要素を盛り込み、どのような点に注意すべきかを見ていきましょう。
一般的な志望理由書の構成要素と、理学部特有の視点を交えながら解説します。
志望理由書の基本的な構成
KOSSUN教育ラボでは、合格する志望理由書の「黄金律」を導き出しました。
下記の基本構成を参考にあなたの自然科学への情熱が伝わる、論理的で魅力的な志望理由書を作成しましょう。
【志望理由書の基本的な構成例】
- 志の宣言
- 最初に、「〇〇という自然科学の分野を通して、〇〇という未解明の現象を解明したい、あるいは〇〇という応用的研究を通して社会に貢献したいという強い思いを持ち、貴学理学部(または〇〇学科)を強く志望いたします」のように、あなたの最も核となる自然科学への探求心と、研究者として実現したい目標を冒頭で示し、読み手の関心を惹きつけましょう。
- 一貫性の提示
- あなたの自然科学への探求心がどのように育まれ、どのような経験や自然現象との出会いを通して深まってきたのかを、具体的なエピソードを交えながら語ります。なぜその自然科学の分野に心を惹かれ、どのような研究テーマに関心を持つようになったのかを記述しましょう。
- 志望動機
- なぜその大学の理学部(または〇〇学科)を志望するのか、その理由を具体的に説明します。特色ある研究テーマ、充実した実験設備、著名な教授陣、自由な研究環境、学際的なプログラムなど、大学の具体的な要素に触れながら、あなたの探求したい分野や学びたいこととの関連性を明確に述べましょう。「〇〇教授の△△に関する画期的な研究が、私が長年疑問に思ってきた〇〇という現象の解明に繋がる可能性を感じている」「貴学の□□というユニークな実習プログラムを通して、〇〇という実験スキルを習得し、将来の研究活動に活かしたい」といった具体的な記述が効果的です。
- 入学後、どのような自然科学の分野を深く学び、どのような研究テーマに取り組みたいのか、具体的な計画を示しましょう。また、将来、理学の知識やスキルを活かしてどのような目標を達成したいのか、社会にどのように貢献したいのかを具体的に語ることで、入学後の研究意欲と目的意識の高さをアピールできます。「〇〇という現象の解明に向けて、〇〇という実験手法を学び、〇〇という研究に取り組みたい」「貴学で培った〇〇の知識と実験スキルを活かし、〇〇という分野で新たな発見をし、人々の生活に貢献したい」といった記述が考えられます。
- 〆のひと押し
- 最後に、改めてその大学で学びたいという強い熱意と、自然科学の探求を通して真理を明らかにし、科学の発展に貢献したいという意欲を述べ、志望理由書を知的好奇心と情熱とともに締めくくりましょう。「貴学の自由な発想を尊重し、最先端の研究に触れることができる恵まれた環境の中で、自然科学の奥深さを探求し、将来は世界を舞台に活躍できる研究者へと成長したいと強く願っております」といった表現が考えられます。
【理学部特有の視点:自然科学への探求心と研究者としての才能をアピールする要素】
理学部の志望理由書では、上記の基本構成に加えて、以下の要素を意識的に盛り込むことで、あなたの自然科学への探求心と研究者としての才能がより深く伝わる内容にすることができます。
- 特定の自然科学分野への深い興味と探求心: 物理学、化学、生物学、数学、地球科学、天文学など、特定の分野に対する強い興味と、その原理や法則を深く理解しようとする探求心を示す記述。
- 自然現象への鋭い観察力と考察力: 日常の自然現象や実験・観察を通して得られたデータに対し、独自の視点から疑問を持ち、深く考察する能力を示す具体的なエピソードを記述する。
- 論理的な思考力と実験・観察への意欲: 仮説を立て、それを検証するための実験や観察を計画・実行し、得られた結果を論理的に分析する能力と意欲を示す具体的な経験や取り組みを記述する。
- 数学的な思考力と数式を用いた表現力(該当分野の場合): 数学的な概念を理解し、数式を用いて自然現象を記述したり、論理的な考察を進めたりする能力を示す(数学科、物理学科など)。
- 情報収集能力と文献調査への意欲: 自身の興味のある研究テーマに関する最新の論文や研究成果を積極的に収集し、理解しようとする意欲を示す記述。
- コミュニケーション能力と議論への積極性: 研究室での議論や学会発表などを通して、自身の考えを明確に伝え、他者の意見を真摯に受け止めることができる能力を示す。
- 倫理観と科学に対する真摯な姿勢: 科学研究の倫理的な側面を理解し、不正行為を排除し、真摯な態度で科学に向き合う姿勢を示す。
- 基礎的な実験スキルと安全への配慮: 高校の実験などを通して培われた基本的な実験スキルと、実験における安全管理への意識を示す。
理学部 志望理由書作成のポイント
上記の基本構成要素を踏まえつつ、理学部特有の視点を意識することが重要です。
- 具体的な自然現象や未解明な問題に焦点を当てる: 単に「科学が好き」と言うだけでなく、特定の現象や問題に関心を持ったきっかけ、それについて考えたことなどを具体的に記述しましょう。
- 高校での理科や数学の学習経験を具体的に示す: 授業で特に興味を持った内容、自主的に取り組んだ課題研究、科学コンテストへの参加経験などを具体的に記述しましょう。
- 将来取り組みたい研究テーマを具体的に示す: 大学のWebサイトや研究室の情報を調べ、興味のある研究テーマや教授の名前を具体的に挙げ、なぜその研究に惹かれるのかを説明しましょう。
- 実験や観察に対する意欲を示すエピソードを盛り込む: 自身が行った実験や観察の経験、そこから得られた学びや考察を具体的に記述しましょう。
- 論理的な思考力や分析力を示す記述を心がける: 物事を客観的に捉え、筋道を立てて考える力、得られたデータを分析し考察する力をアピールしましょう。
- 大学の教育方針や研究環境への理解を示す: 大学の特色や研究設備、教授陣の専門分野などを事前に調べ、自身の興味や目標とどのように合致するのかを具体的に述べましょう。
理学部 志望理由書の例文
それでは、上記のポイントを踏まえ、具体的な理学部の志望理由書の例文を見ていきましょう。あくまで例文として参考に留め、ご自身の言葉で熱意を伝えることが重要です。
【例文:田中翔太さんの志望理由書】
私が貴学理学部物理学科を強く志望する理由は、宇宙の根源的な謎である暗黒物質の正体を解明する研究に貢献したいという強い思いがあるからです。
幼い頃から、夜空に輝く星々に魅せられ、宇宙に関する書籍やドキュメンタリー番組に夢中になってきました。特に、宇宙の質量の大部分を占めるとされる暗黒物質の存在を知り、その正体が未だ解明されていないことに強い興味を持つようになりました。高校の物理の授業で学んだ素粒子物理学や宇宙論の知識は、私のこの探求心をさらに深める契機となりました。高校 2 年生の時には、科学部の活動として、宇宙線観測に関する研究グループに所属し、データ解析を通して宇宙の壮大なスケールと未解明な現象の多さを肌で感じました。貴学物理学科の〇〇教授の「宇宙論における暗黒物質の研究」に関する論文を拝読し、理論と観測の両面から暗黒物質の解明に迫るその研究に深く感銘を受け、ぜひこの研究室で学びたいと強く思いました。
貴学理学部物理学科では、量子力学、電磁気学、統計力学といった物理学の基礎を深く学ぶことができるカリキュラムに加え、宇宙論、素粒子物理学、宇宙線物理学など、宇宙の謎に迫る専門分野を幅広く学ぶことができると伺い、私の暗黒物質研究への強い関心を追求するための最適な環境であると確信しています。特に、〇〇教授が主宰する宇宙論研究室における最先端の研究活動や、国内外の共同研究プロジェクトに参加できる機会は、私が将来、暗黒物質の解明に貢献するという目標を実現するための貴重な経験となると確信しています。
入学後は、〇〇教授の指導の下、宇宙論や素粒子物理学に関する専門知識を深く学び、暗黒物質の候補となる素粒子の理論研究や、宇宙望遠鏡を用いた観測データの解析に積極的に取り組みたいと考えています。また、研究室のセミナーや勉強会にも積極的に参加し、最先端の研究動向を把握するとともに、自身の研究成果を発表する機会を得たいと考えています。将来的には、宇宙物理学の研究者として、国際的な研究プロジェクトに参画し、暗黒物質の謎を解き明かすことで、宇宙の理解を深めることに貢献できる人材になりたいと考えています。
貴学の宇宙物理学における卓越した研究実績、充実した研究設備、そして熱意あふれる教授陣の下で、物理学の奥深さを探求し、長年の夢である宇宙の謎の解明に貢献できる研究者へと成長したいと強く願っております。
【例文から学ぶポイント】
- 明確な研究目標と深い探求心: 宇宙の根源的な謎である暗黒物質の解明という明確な研究目標と、それに対する強い探求心を示しています。
- 具体的な経験と学びの接続: 高校での科学部での活動や、物理の授業で学んだ知識が、大学での研究テーマへの関心を深めたきっかけとなっていることを具体的に記述しています。
- 大学・研究室との明確な繋がり: 興味のある教授の研究内容を具体的に挙げ、なぜその研究室で学びたいのかを明確に述べています。
- 具体的な学習・研究計画: 入学後に学びたい科目や取り組みたい研究テーマ、活用したい設備などを具体的に示しています。
- 論理的な思考力と分析力への期待: 物理学の基礎知識やデータ解析の経験を通して、論理的な思考力と分析力をアピールしています。
- 将来の研究者としての明確なビジョン: 将来、宇宙物理学の研究者として、国際的な研究プロジェクトに貢献したいという明確なビジョンを示しています。
最終確認!志望理由書提出前のチェックリスト
最後に、提出前に必ず確認しておきたいチェックリストをご紹介します。
- 大学・学部のアドミッション・ポリシー(特に理学部の求める人物像)を深く理解しているか?
- なぜその大学・学部の特定の分野で学びたいのか、具体的な理由が明確に書かれているか?
- 高校での理科や数学の学習経験が、大学での専門的な学習や将来の研究目標と結びついているか?
- 興味を持った自然現象や研究テーマ、それに対する考察などを具体的に記述しているか?
- 入学後の具体的な学習計画や研究への意欲が明確に述べられているか?
- 将来の研究者としての展望や、科学の発展に貢献したいという意欲が伝わるか?
- 誤字脱字、文法的な誤りはないか?
- 指定された文字数制限を満たしているか?
- あなたの知的好奇心、探求心、そして科学への情熱が伝わる文章になっているか?
これらの項目を一つひとつ確認し、自信を持って志望理由書を提出してください。
KOSSUN教育ラボの活用
KOSSUN教育ラボは、小論文対策講座や個別指導、面接対策など、総合型選抜に特化した様々なサポートを行っています。
専門の講師があなたの個性や強みを引き出し、合格に向けて徹底的に指導します。
KOSSUN教育ラボのサポート体制
- 小論文対策講座: 基礎知識の習得から応用力養成まで、段階的に小論文の書き方を学ぶことができます。
- 個別指導: 自分の課題に合わせて、講師にマンツーマンで指導を受けることができます。
- 添削指導: 実際に書いた小論文を講師に添削してもらい、改善点を見つけることができます。
- 面接対策: 面接で聞かれる可能性のある質問を想定し、練習することができます。
- 出願書類添削: 志望理由書や自己PR文など、出願に必要な書類の添削を受けることができます。
- 情報提供: 総合型選抜に関する最新情報や大学の情報を手に入れることができます。
KOSSUN教育ラボからのメッセージ
総合型選抜は、皆さんの個性や可能性を大学に伝える絶好の機会です。この記事が、理学部への志望理由書作成の一助となれば幸いです。
KOSSUN教育ラボでは、総合型選抜・学校推薦型選抜(AO入試・推薦入試)に特化した対策を行っています。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
東京大学、慶應義塾大学のダブル合格者を輩出!
実力と人間性を兼備した指名の絶えない人気講師。
【略歴】学士(文学)お茶の水女子大学
群馬県出身。大学卒業後、私立高校に入職。その間、進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など高校の教育現場に押し寄せる変化にいち早く対応。
東京大学、慶應義塾大学SFCのダブル合格者を輩出するなど、最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取るほどの人気講師となっている。
趣味特技は、散歩、読書。