
- 1. その志望理由書に「魂」はあるか。一生モノの「問い」を立てるための思考法
- 2. 1. そもそも「問い」とは何か?(テーマとの違い)
- 3. 2. 志望理由書を支える「3つの問い」の階層
- 3.1. ① 社会への問い(Why now? / Why this?)
- 3.2. ② 自己への問い(Why me?)
- 3.3. ③ 大学への問い(Why here?)
- 4. 3. 鋭い「問い」を立てるための3つのアプローチ
- 4.1. アプローチA: 「当たり前」に「なぜ?」をぶつける(常識の疑い)
- 4.2. アプローチB: 「マクロ」と「ミクロ」を往復する
- 4.3. アプローチC: 「定義」を再構築する
- 5. 4. 立てた「問い」をブラッシュアップするチェックリスト
- 5.1.1.1.1. 「Yes / No」で答えられないか?
- 5.1.1.1.2. 具体的で範囲が絞られているか?
- 5.1.1.1.3. 「解決したい」という熱意(パッション)があるか?
- 5.1.1.1.4. 大学の学問領域(アカデミズム)に繋がるか?
- 6. 5. 【実例】平凡な志望理由が「問い」で激変するビフォー・アフター
- 7. 6. GWの残り時間で「問い」を磨き抜こう
- 7.1. KOSSUN教育ラボからのメッセージ
その志望理由書に「魂」はあるか。一生モノの「問い」を立てるための思考法
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
志望理由書の初稿を書き進める中で、「文章は埋まったけれど、どこか内容が薄い気がする」「ありきたりな表現ばかりで、自分らしさが見えてこない」と、筆が止まってしまっている人はいませんか?
実は、合格する志望理由書と、そうでない書類の差は、文章力の差ではありません。それは、その文章の根底に流れる「問い(リサーチ・クエスチョン)」の鋭さの差です。
大学側が求めているのは、与えられた問題を解くのが得意な人ではありません。「自分自身で問いを見つけ、その解決に向けて動ける人」です。
本日は、あなたの志望理由書を劇的に進化させる「問い」の立て方について、講義形式で徹底解説します。
1. そもそも「問い」とは何か?(テーマとの違い)
多くの受験生が、「テーマ」と「問い」を混同しています。
- テーマ(対象): 「日本の地域活性化について」
- 問い(切り口): 「なぜ、多額の補助金を投入しても、限界集落の人口減少は止まらないのか?」
「テーマ」は単なるジャンルに過ぎませんが、「問い」にはあなたの好奇心と、社会に対する問題意識が凝縮されています。志望理由書において「私は地域活性化に興味があります」と書く人は大勢いますが、「私は〇〇という矛盾を解決したい」と語れる人はごくわずかです。
「問い」が立っていない志望理由書は、単なる「パンフレットの書き写し」や「自分語り」に終始してしまいます。逆に、鋭い問いが立っていれば、自ずと「それを解決するために、貴学のこの研究室が必要だ」という論理的な帰結が生まれます。
2. 志望理由書を支える「3つの問い」の階層
合格レベルの志望理由書を作るには、以下の3つの階層で問いを立てる必要があります。
① 社会への問い(Why now? / Why this?)
いま、社会で何が起きていて、何が問題なのか?
「環境問題が深刻だ」という一般論ではなく、「プラスチック削減が叫ばれる一方で、医療現場での使い捨て製品の依存度はなぜ下がらないのか?」といった、「矛盾」や「見過ごされている課題」に光を当てましょう。
② 自己への問い(Why me?)
なぜ、他の誰でもなく「あなた」がその問題を解決しなければならないのか?
これは自己分析の核心です。「幼少期の体験」「部活動での挫折」「ボランティアでの気づき」など、あなたの過去の中に、その問いを抱くに至った「原体験」が必ずあるはずです。「なぜ私はあの時、あんなに悔しいと感じたのか?」という問いを自分に投げかけてください。
③ 大学への問い(Why here?)
なぜ、その課題を解決する場所が「この大学」なのか?
「貴学の充実した施設で学びたい」は答えになっていません。「私の立てた〇〇という問いに対し、△△教授の××理論はどのような解を与えてくれるのか?」という、知的な対決(コラボレーション)を想定した問いを立てましょう。
3. 鋭い「問い」を立てるための3つのアプローチ
「問いが大切だと言われても、どうやって見つければいいか分からない」という人のために、具体的なテクニックを伝授します。
アプローチA: 「当たり前」に「なぜ?」をぶつける(常識の疑い)
世の中で当然とされていることに疑問を呈してみてください。
- 「なぜ学校教育では、個性を伸ばすといいながら一斉授業を行うのか?」
- 「伝統文化を守るべきだと言うが、変化しない文化に価値はあるのか?」
このように、「A=善」という常識に対し、「本当にそうか?」と切り込むことで、あなた独自の視点が生まれます。
アプローチB: 「マクロ」と「ミクロ」を往復する
大きな社会問題(マクロ)を、自分の身の回りの小さな出来事(ミクロ)に引き寄せてみましょう。
- 「日本の貧困問題(マクロ)」→「クラスで修学旅行の積立に苦労していた友人の表情(ミクロ)」
マクロな視点だけで書くと抽象的になり、ミクロな視点だけで書くと独りよがりになります。この両者を繋ぐ「なぜ、私の目の前でこの問題が起きているのか?」という問いが、文章に深みを与えます。
アプローチC: 「定義」を再構築する
言葉の意味を自分なりに定義し直す手法です。
- 「真の『バリアフリー』とは、段差をなくすことではなく、心の壁をなくすことではないか?」
このように、既存の概念に自分なりの定義を与えることで、研究の方向性が明確になります。
4. 立てた「問い」をブラッシュアップするチェックリスト
問いを立てたら、以下の4つのポイントでセルフチェックを行ってください。
「Yes / No」で答えられないか?
具体的で範囲が絞られているか?
「解決したい」という熱意(パッション)があるか?
大学の学問領域(アカデミズム)に繋がるか?
5. 【実例】平凡な志望理由が「問い」で激変するビフォー・アフター
ある生徒の例を見てみましょう。
Before: 「私は看護師になりたいです。幼い頃に入院した時、優しくしてくれた看護師さんに憧れたからです。貴学で看護の技術と知識を学び、患者さんに寄り添える看護師を目指します。」
評価:悪くはないが、これでは何千人といる受験生に埋もれてしまう。
After: 「私は『多忙を極める現代の医療現場において、身体的ケアと精神的ケアの両立を阻んでいる構造的な要因は何か』という問いを追究したい。入院体験時、看護師が作業に追われ、患者の不安に耳を傾ける余裕がない現状を目の当たりにした。貴学の『対人援助学』のゼミにおいて、ICT活用による業務効率化と対面コミュニケーションの質の相関を研究し、真の意味で『寄り添う』を実現するためのシステムを模索したい。」
評価:問いが明確になり、大学で何を学ぶべきかが具体的になった。
6. GWの残り時間で「問い」を磨き抜こう
「問い」を立てる作業は、正直に言って苦しいものです。自分の無知を突きつけられたり、矛盾に悩んだりすることもあるでしょう。しかし、その苦しみこそが「思考している証拠」です。
「初稿」とは、完璧な文章である必要はありません。 「私は、大学4年間(そしてその先の人生)をかけて、この問いの答えを探したいんだ!」という叫びが、一行でも入っていれば、それは素晴らしい初稿です。
KOSSUN教育ラボからのメッセージ
志望理由書は、あなたが大学という「知の冒険」に漕ぎ出すための、「挑戦状」です。
「私はこんな面白い問いを見つけました。貴学という場所なら、その答えが見つかりそうなんです。一緒に考えませんか?」 そんな風に、教授をワクワクさせる問いを立ててみてください。
もし、問いが見つからなくて苦しんでいるなら、ぜひ校舎に来てください。あなたのこれまでの経験、好きなこと、許せないこと……バラバラに散らばったピースを一緒に眺めながら、あなただけの「問い」を言葉にするお手伝いをします。
この連休、徹底的に「なぜ?」を積み重ねていきましょう。その先に、あなただけの合格の道が拓かれていくはずです。
私たちは、あなたの知的な挑戦を全力で応援しています!
KOSSUN教育ラボでは、総合型選抜・学校推薦型選抜(AO入試・推薦入試)に特化した対策を行っています。
受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
群馬県出身。お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。その間、進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など高校の教育現場に押し寄せる変化にいち早く対応。
東京大学、慶應義塾大学SFCのダブル合格者を輩出するなど、最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取るほどの人気講師となっている。


